今日の読売新聞の将棋欄に、竜王戦第5局の棋譜が載ってました。
以前から思ってましたが、持ち時間8時間とはいえ、なぜ、序盤から時間を使うのでしょうか?
横歩取りの将棋で、定石通りの進行です。
もっと早く指して、中盤あたりから長考して、終盤に時間を余らせたほうが得策だと思います。
例えば、羽生名人の16手目▽3三角。
考慮時間、6分です。
この局面の選択肢は、▽8八角成からの相横歩取りや、▽3三桂とありますが、通常は▽3三角です。
その手に、6分も使うのはなぜですか?
19手目の渡辺竜王の、▲5八玉の13分の考慮時間も考え過ぎのように思います。
いつも疑問に思うのですが、長時間のタイトル戦、なぜ定石通りの進行で、あんなに時間を使うのでしょうか?
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何でもない手で時間を使う理由として考えられるのは…
①トイレなどで席を立っていた。
ネット中継の16手目△3三角の解説には
「羽生は席に戻って△3三角を着手。」
とあったので、「△3三角に6分使った」理由は間違いなくこれでしょう。
渡辺竜王が15手目を指した時には既に席を立っていたのか、
あるいは指したのを確認してから席を立ったのか、まではわかりませんが。
②「おやつ」を食べていた。
タイトル戦では10時頃と15時頃に「おやつ」が出ますが、
これを食べている時間は昼食休憩と違って「時計を止めません」。
特に渡辺竜王はこの「おやつ」に関して
「自分の手番の時に食べる」
「相手が食べている時は完食するまで指さない」
という強いこだわり(相手への配慮)があります。
なので、考える必要がほとんどない局面で数分消費することもあります。
もっとも、第5局で「午前のおやつ」が出たのは25手目の局面なので、
「19手目に13分使った」理由はこれではないでしょう。
③「盤外戦術」を仕掛けていた。
例えば横歩取りで△3三角と上がる手は「定跡どおりの手」ではありますが、
「将棋のルール上絶対の手」というわけではありません。
なので、意図的に時間を使うことで
「もしかしたらこちらが研究していないすごい手をやってくるのでは?」
という心理的動揺を誘おうとしている。
反対に「困っているふり」をして(自分のほうが有利だと思わせて)
相手の緊張感を緩めようとしている場合もある
(有利だと思って安心している時に妙な手を指されたらびっくりしますよね?)。
…「盤外戦術」と言うと某先生のような「目に見える言動」が思い浮かびますが、
こういった「ふり」も立派な(?)盤外戦術です。
ちなみにこれはネット将棋でも意外に有効な戦術で、
ネットゲーム(将棋に限らず)はせっかちな人が多いせいか、
秒読みで全ての手を29(59)秒で指すといった
「焦らし作戦」が功を奏することが結構あります。
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